訴えの取り下げ

先日,調停の条件として別件訴訟の取下げをしました。
再訴するかもしれないので,再訴してもかまわない旨の条項を入れようとしたところ,判決が出た後でないと,再訴禁止効は生じないとのこと。
被告が応訴さえしていれば再訴禁止効が生じるかと誤解していました。
そのため,その条項は入れませんでした。
調停成立の席で,裁判官から教わりました。
やはり裁判官は法をよく知っています。
というより,私が疎すぎたかもしれません。

参照条文です。

民事訴訟法第262条(訴えの取下げの効果)
① 訴訟は、訴えの取下げがあった部分については、初めから係属していなかったものとみなす。
② 本案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は、同一の訴えを提起することができない。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-30 17:05 | 民事訴訟法

既判力(きはんりょく)の客観的範囲

既判力(判決の後訴への拘束力)は,訴訟物(紛争の客体たる権利義務関係)に生じます。
これを既判力の客観的範囲と言います。

これの別の観点からの説明として,既判力は,判決主文に生じ,理由中の判断には生じないという説明がなされます。

誤解しやすいのは,例えば,債務不存在確認訴訟を起こして,請求棄却判決が出た場合,判決主文には「原告の請求を棄却する」としか書かれていないことから,何に既判力が生じたかがわからないという学生がいることです。

要は,訴訟物に生じるのだから,この場合は,判決の理由を読むことにより,債務の存否が訴訟物であると抽出して,その債務の存否に既判力が生じると考えるのが素直です。
この場合,判決の理由を使って訴訟物を明らかにしているだけで,判決の理由中に既判力を認めたわけではないことに注意が必要です。

例えば,同じ債務不存在確認訴訟で,請求棄却判決が出た場合に,その理由が相殺の抗弁が認められた場合で考えると区別がつきます。
この場合も判決主文には「原告の請求を棄却する」としか書かれませんが,先程述べたように訴訟物である債務の存否に既判力が生じ,これが既判力の客観的範囲となります。
相殺の抗弁が認められたことは,理由中の判断であり,既判力の客観的範囲の例外として,相殺の抗弁には既判力が生じるので,この場合は相殺の抗弁が認められたことに判決理由中の判断として既判力が生じます。

理由を使って訴訟物を抽出することは,言ってみれば当たり前になされるわけで,判決理由中の判断の既判力の問題とははっきり区別されます。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-30 17:03 | 民事訴訟法

無料法律相談?

当事務所では,法律相談の法律相談料は30分5250円,以後15分刻みで2500円(税抜き)をいただいています。
ただし,多重債務相談(借金・クレサラ相談)は,無料です。

最近,弁護士会のメーリングリストで,全ての法律相談を無料にするべきではないかという意見を目にしました。
利用者の便や,自治体や法テラスの法律相談が無料であることが理由のようです。

しかし,私は,現時点では,全ての法律相談を無料にすることには反対です。
30分5250円という法律相談料をもらっているからこそ,無責任なことは言えず,しっかりとした責任あるアドバイスやその後のフォローができると思うからです。
無料法律相談は,対応する弁護士の質が低いとか,アドバイスに心がないとか,結局無駄足になったとかの苦情もあると聞きます。
質の高い,責任ある法律相談をするには,やはり無料にはすべきではないと思います。

そもそも,日本人には,無形のサービスに費用がかかるということに違和感を持つ方が多いように思います。
これからは,専門家の無形のサービス(例えば,士業のサービスやコンサルタントのサービスなど)にはそれなりの費用がかかるということが常識になっていけばと思います。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-30 17:02 | 弁護士・検事・裁判官

借金の取り立てを止める

借金の取り立てでお困りの方。弁護士に債務整理を依頼してみませんか。

依頼した2~3日後には借金の取り立てが一時的に(3か月ほど)止まります。
その間に,生活を立て直して,債務を整理します。

なぜ借金の取り立てが一時的に止まるかというと,弁護士は,依頼を受けた当日に,借金先のサラ金会社等債権会社に対し,弁護士介入通知(別名「受任通知」,すなわち,弁護士が受任したので介入して債務を整理するとの通知)を出すのですが,その弁護士介入通知の効力により,法的に債権会社は借金の取り立てが禁止されるのです。

一時的(3か月ほど)ではありますが,借金の取り立てが止まることは,借金のある債務者にとって安堵の期間となります。前述のとおり,生活を立て直してもらいます。
その間に,弁護士費用を少しずつ分割支払いしてもらい,約3か月後からは本格的に債務整理を開始します。

債務整理の方法には,3つあり,それは①任意整理,②自己破産,③個人再生です。

①任意整理は,これまでの取引の履歴を利息制限法の制限利率に引き直して債務を圧縮し,30~50回の分割弁済の和解を結ぶことにより債務を整理する方法です。
②自己破産は,法的に債務を棒引きにしてもらう方法です。
③個人再生は,法的に大幅に債務を圧縮して,基本的に3年間で返済する計画を立てて債務を整理する方法で,特に住宅ローンを残して家を守りたい場合に使われます。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-30 17:01 | 債務整理

内容証明郵便

郵便局に手紙の内容と配達したことを証明してもらう郵便のことです。
内容証明郵便と言います。

個人で出す方も結構いますが,弁護士が弁護士名で出すと,いっそう効果的です。
相手をけん制することができます。
たいていはびっくりすると思います。

どんな内容のものを送るかというと,金銭の請求,たとえば,損害賞請求とか,弁護士が介入した通知,言ってみれば宣戦布告?みたいなものなどです。

用紙は郵便局に売っています。
弁護士は,日常業務として内容証明を送るので,電子内容証明郵便サービスを使います。
クレジット決済でネットでできます。

一度がつんと言わせたい相手がいたら,出してみてはいかがですか?(笑)
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-30 17:00 | その他の法律

復帰的物権変動(ふっきてきぶっけんへんどう)

甲さんが,乙さんに,車を売ったとします(民法555条-売買契約)。
車の所有権は,原則として契約時に,乙に移転します。

ところが,乙さんが甲さんを騙したため,甲さんは売ってしまったとします。
これは,詐欺(民法96条)で,甲さんは,売買契約を取消しすることができます。

取消権は,取消権行使の意思表示により,効果が生じ,その効果は,遡及的無効です(民法121条)。遡及的無効とは,はじめに遡って無効になる,すなわち,最初から実は無効であった,という意味です。

取消権行使により,甲さんが乙さんに車を売ったことは遡って無効になることになります。
すなわち,最初からなかったことになるはずなのですが,観念的には,一度乙さんに所有権が移転したものが甲に戻るようにみえると考えることもできます。
それを復帰的物権変動といい,判例法理にも出てくるのですが,論理的には遡及的無効と完全に矛盾します。

その矛盾を頭の中で消化できない(割り切ることができない)と,法律の勉強は進みません。
そういう論点がほかにもたくさんあるので,法律を難しくしていると思います。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-30 17:00 | 民法

弁護士費用の留意点

弁護士費用についての留意点です。

弁護士費用には,おおきく分けて4つがあります。
1 法律相談の「相談料」
2 事件依頼の「着手金」
3 事件終了の「報酬金」
4 事件にかかる「実費」
です。

法律相談料は,法律相談にかかる弁護士費用で,30分5250円,以後15分刻みで課金されます。原則として初回にかかります。継続相談となった場合もその都度かかります。ただし,当事務所では,債務整理(任意整理・自己破産・個人再生)についての法律相談は法律相談料を無料としています。これは,債務整理の相談者の方は,お金に困っている場合がほとんどだからです。

着手金は,事件を依頼していただくことになった場合,生じます。はじめに支払っていただく弁護士費用で,言ってみれば契約金のようなものです。基本的には,係争物の価格(経済的利益)をベースに,4~8パーセントという基準に基づき算定されます。たとえば,200万円の損害賠償を求める場合であれば,着手金は16万円です。

報酬金は,依頼していただいた事件が解決して終了した場合に生じます。いわゆる成功報酬です。基本的に,係争物の価格(経済的利益)をベースに,10~16パーセントとなっています。たとえば,200万円の損害賠償で勝訴して200万円が手に入れば,報酬金は32万円です。

着手金と報酬金については,分轄払いの相談にも応じています。

実費は,印紙代,通信費,交通費,コピー代等の実費で,全額お客様の負担になります。この点は,普通の商売と違い,そもそも弁護士と依頼者は委任関係であるため,実費は依頼者の負担となるのでご注意ください。最初にまとまったお金をお預かりし,最終的に清算してあまりがあればお客様に返金するシステムを取っています。

弁護士費用は,高いとよく言われますが,一定の質のサービスを提供するには,ある程度はどうしてもかかってしまうというのが正直なところです。ただ,お客様の資力や,仕事にかかる手数・仕事量・負担に応じて,基準にとらわれることなく,妥当かつ適正な弁護士費用を柔軟に決めているつもりです。たとえば,お金に苦しいご事情があったり,弁護士の負担が少ない事案については,ディスカウントをしています。ご理解いただきたいと思います。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-30 16:59 | 弁護士・検事・裁判官

藤沢で強盗? 窃盗と強盗の区別

先週,通勤の電車で「藤沢の小田急デパートに強盗が入ったらしいよ」という噂を耳にしました。
翌日の新聞に,「藤沢の小田急デパートで,深夜,2億円相当の宝石等が盗まれた。窃盗の容疑で捜査中。」という記事が書いてありました。

強盗と窃盗では全然違うなあと思ったのでしたが,普段同じように使われているのが現実です。その違いは何でしょうか?

窃盗の定義は,「占有者の意思に反し,財物の占有を排除し,自己または第三者の占有に移すこと」です。
これに対し,強盗の定義は,「暴行・脅迫により,相手方の反抗を抑圧し,その意思によらずに財物を自己または第三者の占有に移すこと」を言います。

共通点は,被害者の占有物を,自己または第三者の占有に移すことです。
根本的な違いは,その占有を移す態様の違いであり,強盗の場合は,暴行または脅迫により,相手の反抗を抑圧するのに対し,窃盗の場合は,そうではない点にあります。

例えば,万引きは,窃盗です。
銀行強盗は,窓口の銀行員に対し,「金を出せ」などと脅迫し,その意思を抑圧して,お金を奪取するので,強盗になります。

先の藤沢の小田急デパートの件は,深夜に,デパート内に侵入し,誰もいないなかで,宝石等を持ち去った事件であり,被害者の反抗を抑圧するような暴行・脅迫がなく,単に占有を自分達のもとに移したにすぎないため,窃盗になります。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-28 10:37 | 刑法

検察時代の官舎事情

最初に名古屋で入った官舎は,昭和40年代築の3Kで,団地タイプの官舎でした。
はっきり言ってボロボロで,トイレは和式,風呂はガス釜でした。
家賃は2万円くらいだった記憶です。

次に山形で入った官舎は,昭和50年代築の3DKで,団地タイプの官舎でした。
ほどよく手入れされていて,トイレは洋式,風呂はガス釜でした。
家賃は3万円くらいだった記憶です。

最後に横浜で入った官舎は,平成14年ころ築の3LDKで,マンションタイプの官舎でした。
ものすごくきれいで,ハイセンスな官舎でした。
家賃は5万円くらいだった記憶です。

検察官の官舎は,法務省が管理するもの(いわば直営のもの)と財務省が管理するもの(他の省庁の公務員も入ります)があります。
法務省系の官舎は,たいていは古くて安いです。
財務省系の官舎は,新しいものが多いです。
ただ,私の場合,名古屋・山形・横浜いずれも財務省系だった記憶です。

家賃は市価の5割程度でしょうか。
官舎の家賃は基本的に全国単位で決まっているのに対し,市価は地方が安くて都心部は高いことから,地方だとあまり割安感を感じませんが,都心部だと割安感をとても感じます。
ちなみに,官舎に入れば住宅手当はもちろん出ません。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-28 10:36 | 弁護士・検事・裁判官

反対尋問の危うさ

証人尋問は,交互尋問という方法で行われます。
交互尋問とは,先に証人サイドの弁護士が主尋問を行い,主尋問がすべて終了した後,証人に敵対するサイドの弁護士が反対尋問を行うというように,尋問者が交互に変わる尋問の方法を言います。

証人は,反対尋問を想定してリハーサルが行われているため,反対尋問で弾劾(証言の信用性を揺るがすこと)するには,かなり難しいです。

たとえば,主尋問で「なぜ」と思った証言があっても,反対尋問で「なぜ」という風に根拠を聞くと,それなりの根拠を証言することになるため,証言が固まって,信用性が高まってしまうようなことがあります。
それを逆算すると,主尋問で,「なぜ」と思った証言があっても,反対尋問で「なぜ」と聞くのは,特別の事情がない限り,やめた方がいいという経験則が生じるのです。

昨日,2人の敵性証人(相手方サイドの証人)の反対尋問をしました。
こちらも,あらかじめ,色々考えて,証言の信用性を揺るがすような質問を用意しました。
それと,主尋問を聞いて,崩せそうなポイントがあったら,それも突くように考えました。
それでも,反対尋問して逆効果になる危うさを感じました。
その危うさを感じながら,なんとか頑張って,結果的には,ほぼ満足いく反対尋問ができたと思います。

検察時代は,被告人に対する質問は,常に反対尋問になるので,色々工夫しました。
弁護士になり,民事事件の反対尋問をするようになりましたが,検察時代とは違った難しさがあります。
経験を踏み,自分が工夫していくことと,他の弁護士,特に相手方弁護士の反対尋問をよく観察して,技を盗み,スキルをあげていくのが常道のように思います。
昨日の反対尋問もいい経験になりました。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-28 10:35 | 民事訴訟法

免責不許可事由

一般用語では,破産をすると債務が棒引きになる(=免責)と理解されていて,「破産=免責」という定式が常識となっていますが,破産法上の概念としては,破産と免責は厳密に区別されていて,破産になったからといって必ず免責となるわけではありませんので注意が必要です。

それは免責不許可事由というのがあって,破産の決定が出ても,免責不許可事由があると,免責が認められず,破産したのに債務が棒引きとならない事態も生じうるのです。
免責不許可事由がある場合は「破産=免責」の定式が崩れます。
ただ,免責不許可となるのはかなり例外的ですので,あまりご心配のないように。

免責不許可事由は法律(破産法)に列挙されているのですが,趣旨は債務の棒引きというメリットを与えるのにふさわしくない場合は免責を不許可にするというもので,例えば,ギャンブルの借金,過度の浪費の借金,犯罪(例えば詐欺的な)がらみの借金などが主たる免責不許可事由です。

実務的には,破産申立書の中に「破産に至る経緯」を作成して提出しなければならないのですが,多重債務に陥ってしまう人は,通常は,ギャンブルを多少やっていたり,浪費があったりするのが通常なので,それがあまりにひどいと免責不許可になるのではないか,でも免責不許可にならないようにしなければ依頼者(債務者)が依頼した意味がないからどうしようか,という悩みがあるところです。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-28 10:34 | 倒産処理法

理想の弁護士(いい弁護士)とは

1 秘密を守る,口が堅い弁護士
  とにかく弁護士は依頼者のプライベートな問題を扱いますから,秘密が守れない弁護士は最悪です。
  ブログでも気をつけていますが,私は普段も,事件の話は人には一切しないか,したとしても(ほとんどありませんが),話をものすごく抽象化・単純化して,絶対に特定できないようにして話をします。
  こと事件のことに関しては口は堅くが大原則です。

2 日々進化する弁護士
  進化が止まっていてはいけないと思います。弁護士として必要とされる知識は,日進月歩です。常にアンテナを張り巡らせて,新しい知識はどんどん勉強し吸収しなければなりません。また,弁護士は,日々の仕事が常に新たな経験であり,仕事をすることにより,経験値が上がり,進化します。いろいろな面で,進化を日々達成する必要があると思います。進化のスピードは早ければ早いほどよいです。失敗からも多くを学びます。大きな失敗は回避しなければなりませんが,小さな失敗は繰り返して,どんどん進化したいです。

3 信頼される,安心感のある弁護士
  常に依頼者から依頼を受ける立場になる弁護士は,一定の第三者的立場を維持しつつ,依頼者の利益確保を最優先に行動しなければなりません。それでこそ信頼・安心感のある弁護士であると思います。1~2で書いたように,口が堅かったり,日々進化していたり,そういうところからも,信頼や安心感が生まれるはずです。依頼者から,信頼されなくなること,不安に思われることは,弁護士としてはとても残念なことです。

4 結果を出す,腕のいい弁護士
  いい弁護士になるには,普通の弁護士よりも努力することが求められると思います。日々努力する。人一倍努力する。最善を尽くす。そして,結果を出す。私自身,まだまだ若輩ですが,勝つべき事件に勝ち,負けそうな事件も何とか勝ち,結果を出す,いい腕を持つ弁護士でありたいと思いますし,いい腕の弁護士になれるよう努力していきたいと思います。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-28 10:33 | 弁護士・検事・裁判官

人権享有主体性

人権を享有できる主体となりうる資格のことを「人権享有主体性」といいます。

人権とは,対国家との関係で人たるがゆえに有する権利のことを言います。
例えば,表現の自由,信教の自由,財産権,職業選択の自由,教育を受ける権利,生存権などがあります。

憲法上は,憲法の第3章に「国民の」とあるので,日本国民であれば,人権享有主体性があると言われます。
問題となるのは,法人,外国人,未成年,天皇,公務員,在監者です。
これらについては,いずれも,性質上可能な限り,人権享有主体性があると解されています。

人権自体が,人が人として生まれながらにして持つ権利(自然権)ですから,人であれば,原則として,人権享有主体性があることになります。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-28 10:32 | 憲法

法律の学び方

司法試験に合格したという経験と,それにプラスして,現在,行政法の勉強を隙間時間に少しですが進めているので,そこからの気づきをもとに,「法律の学び方」を書きたいと思います。

1 全体像(全体構造)を理解する

  ともすれば条文の森に埋もれて,その法律の全体像(全体構造)を見失ってしまうと,どつぼにはまって,理解がおぼつかなくなります。常に,何のための法律か,全体として何を規律している法律か,どうしてそういう制度・条文・概念があるのか,という全体像(全体構造)を意識して勉強することが大事です。
  では,どのように全体像(全体構造)の押さえるかというと,教科書の序文(はしがき)と目次がポイントです。序文(はしがき)には,簡潔にその法律の要諦が書いてあることが多いです。次に,目次は,体系立てて意図を持ってあえて目次となっているので,全体像(全体構造)を押さえることができます。

2 定義をこつこつと覚えていく

  法律の本を読むと,専門用語が沢山出てきます。それだけで法律が嫌になる気持ちもわかるのですが,専門用語の概念・定義をこつこつと押さえていくと,だんだんとその法律が分かってきます。教科書をよく読むと,定義部分をひろうことができるので,定義部分はカッコでくくるなり,線を引くなり,色鉛筆やマーカーでマーキングするなりし,その定義をこつこつと覚えていくことが理想です。
  いま私がやっている行政法の勉強だと,公法私法二分論だとか,規制行政・給付行政だとか,行政行為だとか,初めて知る専門用語がどんどんでてきます。それをひとつひとつ定義を覚えていき,読み進めていくうちにまた同じ専門用語がでてきたときに,定義を思い出せなかったら,前に戻って定義部分を確認して覚え直し,前と後ろを行ったり来たりしながら教科書を読んでいくのがオーソドックスなやり方だと思います。

3 条文・判例に飛ぶ

  教科書を読んでいると,条文の番号が引用されていたり,判例百選の事件番号が引用されていたりします。これは,著者からの「この条文を見よ」「この判例百選の事件をみよ」というメッセージです。流し読みのとき,全体をざっとみたいときは条文・判例にまで目を通してられませんが,熟読するときは必ず条文・判例に飛び,そこを読んで知識を深めていくべきです。
  なお,条文を引いたときは,必ず条文の頭に鉛筆で丸印かチェックを入れて,条文をひいたぞという痕跡を残しておくと,再度見たときに記憶が強化されるのでおすすめです。
  あと,教科書,条文,判例百選等を読むときは,色鉛筆かマーカーで色分けしましょう。例えば,定義は緑,理由・趣旨は黄色,問題提起はオレンジ,自説はピンク,反対説は青,判例は紫,キーワードは赤というように(この色分けは私の色分けです)。

4 司法試験の過去問を解く

  ただ教科書を読むだけでは,深く考える癖が身に付かないので,司法試験の過去問を解いてみて,自分の到達度や理解を確かめることも必要です。
  過去問は,問題文を読んで,まず自分の頭で10~15分程度自分なりの答えを考えた後,解説や解答例を読んで,自分の考えがどのように間違えていたか,考え方の筋道をチェックすることが理想です。
  極論してしまえば,教科書を読むより先に,過去問を解くのが先とも言えます。
  過去問を制するものは司法試験を制するとも言います。なぜそのような問題が出題されたのか,出題趣旨を探ることで,司法試験ひいては法律家(法曹)に求められる素養・知識・能力が何なのかが分かります。
  蛇足ですが,司法試験の問題は,ひねりが加えられていてその場で考えさせる良問ぞろいです。会社法100問という問題集があるのですが,そこには司法試験の問題と会計士試験の問題が厳選されて掲載されているのですが,司法試験の問題の方が単に知識を聞くだけではなくて,色々と考えさせる良問が多いことに気付きます。

5 講義を聴く

  例えば,本を読むのが好きで,自分で次々に教科書を読んでいく力のある人は,それでいいのですが,私のように,法律の教科書を普通に読んでも,頭にすっきり入ってこず,いつも教科書の最初の方のページばかりで止まっていて,先に進まないようなずぼらなタイプの人,それと,できる限り合理的に勉強がしたいという人は,大学や予備校の講義を聴くことがおすすめです。講義を聴くにあたり,予習と復習ができれば更にいっそう力がつきます。
  講義は,テープに録音し(あるいはテープを買って),2回聞くのがおすすめです。それは,記憶の定着の意味と,1回目と2回目では,聞いていてフォーカスされる部分が異なり,違う聞き方ができるので,意味があるのです。
  講師は,大学であれば教授がいいです(特に司法試験の試験委員の経験があるほうがのぞましい)し,予備校であれば,看板講師がいいのではないでしょうか。私の知っているのは古いかもしれませんが,伊藤塾の伊藤先生,高野先生,山本先生,Wセミナーの熊谷先生,小塚先生,新保先生,LECの柴田先生,岩崎先生,辰巳の加藤先生,貞友先生などは私でも知っている有名講師だと思います。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-28 10:31 | その他の法律

法律相談をする弁護士の心得

法律相談は,突然何を聞かれるか分からないので,いつも緊張します。
先日も新人弁護士から,同じ不安等を相談されました。

そこで,現時点での私なりの法律相談の心得を記したいと思います。

第1に,聞かれたことについて,法律(条文)があるかないか。を考える。
あるなら,条文を引き,リーガルマインドを駆使して解釈し,一定の答えを出す。

第2に,法律(条文)がなければ,似たような条文がないか。を考える。
あるなら,似た条文をリーガルマインドを駆使して解釈し,一定の答えを出す。

第3に,条文や似たような条文がないときは,もっぱら条理(慣習,経験則,信義則,常識)で考える。
条文がない以上,様々な考え方ができることを示すことが答えとなる。

簡単ですが以上が私の心得です。

なお,いきなり突拍子もない内容の法律相談というのは,実はありそうでなかなかありません。そのことは安心材料になります。普通は,債務整理とか,離婚とか,相続とか,賃貸借のトラブルとか,慰謝料請求とか,交通事故とかで,主たる法律相談はこのようなものがほとんどです。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-28 10:29 | 弁護士・検事・裁判官

行為の個数

刑法で,行為の個数(専門的には,構成要件該当性の該当回数)の判断をいかにするかについて,学生から質問がありました。
とかく刑法の司法試験の論文の問題では,行為も抽象的であるため,司法試験受験生には実務のセンスの習得に苦慮するところです。

基本的には,行為は,客観面と主観面から成り立つので,この両面から,行為の個数を判断することとなります。
客観面からは,継続性や機会の同一性,社会的意味の同一性などが基準となります。
主観面からは,ずばり犯意(故意)の1個性を軸に,計画性や動機の同一性などが基準となると思います。

検事の経験からは,やはり犯意(故意)がポイントになっていると思います。
例えば,人を殺すつもりで同一機会に10回ナイフで刺したような場合は,10回のうち1回1回ごとに1個の行為とみるのではなく,10回で1個の行為と判断します。なぜなら,人を殺すという犯意(故意)は,1つで,それに支配されている個別所為の集合体であって,全体として行為は1個だと考えるからです。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-28 10:28 | 刑法

法律事務所事務員の呼び名

一般的にこの業界では,法律事務員を,色々な呼び名で呼びます。
代表的なものは,パラリーガル,秘書,事務員さん,です。

「パラリーガル」という呼び名は,どちらかというと法律職(色)が強い呼び方で,例えば,弁護士の指示に基づき判例や法律文献を調査したりすることを主な仕事とする法律事務員のことを言います。東京の大手事務所に多いです。
「秘書」という呼び名もされていて,これはどちらかというとブル弁(ブルジョア弁護士=お金持ちの弁護士)の下で働く法律事務員で,本当に秘書的な仕事,例えば,スケジュール管理などを中心として働く場合と言えます。東京のベテラン弁護士事務所に多いです。
一般的には,普通に「事務員さん」と呼んで,事務仕事を中心とする法律事務員の場合がほとんどです。うちもそうです。
他の士業と異なり「補助者」という呼び方はしないのも弁護士業界特有と思います。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-28 10:26 | 弁護士・検事・裁判官

東京簡易裁判所民事部

今日,東京簡易裁判所(東京簡裁)の民事事件の第1回口頭弁論期日に出廷しました。
ちなみに,過払金返還請求訴訟です。
依頼者が遠方のため,相手方会社の本店所在地である東京簡裁に提訴しました。
東京簡裁は私自身はじめてでした。

びっくりしたのが,同じ時間に入れられている事件の「数」。
10:00に20件くらい
10:30に15件くらい
11:00に3件くらい
とても多いと思いました。

ほとんどがクレサラ会社が原告で債務者が被告の事件の,欠席判決(被告が答弁書を出さないので,擬制自白が成立し,原告勝訴の判決が下ります)なのも驚きました。
裁判官がてきぱきと事件を処理していました。

簡易裁判所の場合,会社の社員であれば,裁判所の許可で代理人になれます。
なので,許可代理人のオンパレード。
ここに弁護士代理の原則を貫いてもらうと,弁護士的には仕事が増えていいなあと,ふと思いました。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-28 10:25 | 弁護士・検事・裁判官

離婚 調停前置主義

離婚には,次の3つがあります。
1 協議離婚
2 調停離婚
3 裁判離婚
この3つがあります。

1の協議離婚は,お互い協議して離婚する形で,最もポピュラーな離婚の方法です。離婚届に署名して役所に提出すれば可能です。

2の調停離婚は,協議離婚の協議が整わないとき,家庭裁判所で調停を行い,合意に達すれば,離婚ができるという方法です。調停は,通常2人の調停委員が,当事者双方から別々に話を聞いて,離婚の合意を目指して話し合いをしていきます。合意に達すれば,調停調書を作成します。この調停調書は判決書や公正証書に準ずる効力を有する公文書です。

3の裁判離婚は,調停離婚ができない場合に,裁判により離婚をする方法です。調停を飛ばしていきなり裁判をすることができず,必ず裁判の前には調停を行わなければなりません。これを調停前置主義と言います。裁判離婚が認められる場合(離婚原因)については法律で定められており,その離婚原因の有無を裁判します。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-27 23:01 | 離婚

公判検事の風呂敷包み

公判検事は,裁判記録を風呂敷包みにして,公判廷に持参します。

これは古くからの伝統です。

この実質的な意味としては,公判廷への行きは,裁判所に提出する裁判記録を大量に持参する必要があるのに対し,公判廷からの帰りは,裁判記録を裁判所に提出してしまうので,ほとんど持ち帰る書類がないことから,行きは大きく帰りは小さくという伸縮自在のきく風呂敷がとても便利がいいからと言われています。

確かに,その通りだと私は思っています。

なお風呂敷の色は,検察の色である「紺」の風呂敷が使われるのが通常です。
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# by ofuna-law-02 | 2008-11-27 22:59 | 弁護士・検事・裁判官