平成20年度新司法試験刑事法第1問

添削を依頼されて,今回,今年の新司法試験の刑事法第1問を解いてみました。

良問ですね。さすが司法試験委員が練りに練って作っただけある。

はっきり言って,論点的には(刑法の解釈論としては)意外と簡単なものしかでていません。
しかし,事実認定(あてはめ)は,私のころの司法修習生レベルまで問うており,旧試験と比較すると,かなり難しいのではないかと。

ロースクールで事例研究(事実の分析)をどれだけ教育しているかが問われてますね。
少なくとも学部生には,論点は書けても,あてはめは難しいはず。
例えば,今回の問題では「強盗の機会」と認められるか,が論点のひとつなのですが,強盗の機会と認めるには,どのようなメルクマールを用いるべきかという立論が必要で,その立論をした上で,積極事情と消極事情を分けつつ,事実を摘示し,かつ,消極事情については,それがあるけれどもどのように考えて結論的に積極的に解するのかをフォローするところまで,あてはめで示さないといけないと思います。
同様のことが,同じように出題された論点である「共謀共同正犯と幇助犯の区別」や「抽象的事実の錯誤の構成要件の重なり合いの範囲」にも求められています。

抽象的規範にとどまらず「メルクマール」を挙げて,あてはめないと点が伸びないと思います。
ずらずらと,脈絡もなく事実を羅列しても,それはダメで,出題者が求めている「事実の摘示」にはならないと思います。

今は法務省から「出題の趣旨」が発表され(私のころはありませんでした),今回も発表されました。
それを読むと,とても詳細かつ丁寧に「出題の趣旨」が書かれているので,受験生の皆さんは,これを熟読して勉強に活かしてほしいと思います。
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by ofuna-law-02 | 2008-12-01 01:26 | 刑法
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