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既判力(きはんりょく)の客観的範囲

既判力(判決の後訴への拘束力)は,訴訟物(紛争の客体たる権利義務関係)に生じます。
これを既判力の客観的範囲と言います。

これの別の観点からの説明として,既判力は,判決主文に生じ,理由中の判断には生じないという説明がなされます。

誤解しやすいのは,例えば,債務不存在確認訴訟を起こして,請求棄却判決が出た場合,判決主文には「原告の請求を棄却する」としか書かれていないことから,何に既判力が生じたかがわからないという学生がいることです。

要は,訴訟物に生じるのだから,この場合は,判決の理由を読むことにより,債務の存否が訴訟物であると抽出して,その債務の存否に既判力が生じると考えるのが素直です。
この場合,判決の理由を使って訴訟物を明らかにしているだけで,判決の理由中に既判力を認めたわけではないことに注意が必要です。

例えば,同じ債務不存在確認訴訟で,請求棄却判決が出た場合に,その理由が相殺の抗弁が認められた場合で考えると区別がつきます。
この場合も判決主文には「原告の請求を棄却する」としか書かれませんが,先程述べたように訴訟物である債務の存否に既判力が生じ,これが既判力の客観的範囲となります。
相殺の抗弁が認められたことは,理由中の判断であり,既判力の客観的範囲の例外として,相殺の抗弁には既判力が生じるので,この場合は相殺の抗弁が認められたことに判決理由中の判断として既判力が生じます。

理由を使って訴訟物を抽出することは,言ってみれば当たり前になされるわけで,判決理由中の判断の既判力の問題とははっきり区別されます。
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by ofuna-law-02 | 2008-11-30 17:03 | 民事訴訟法
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